cero 魚の骨 鳥の羽根 サウンドの成分や鳴り方を意識する
cero 魚の骨 鳥の羽根
このWebZINE『someaka』では過去に多くのシティポップサウンドを伝えてきた。もちろん、『cero』はシティポップと呼ばれるサウンドの成分を吸い込みながらも、ブラックミュージックやクラシックなロックサウンドなどを『cero』というフィルターを通して吐き出している。
時々、思うのだけれどJPOPというのは時代を経て、サウンドや意味合いや軽さ(あるいは重み)がガラリと変わっていってしまう。ある意味、変化というのは音楽という産業やマインドが正常であることを占めてしているし、当たり前でどんな分野でも変わらない。つまり、変化というものは変わらず起こり得る。昔のJPOPの方が良かったなんて言う気は全くないが、彼らの楽曲からはあの時代を思わせるリリックや湧いたアイディアを極限までそのまま形でサウンドに組み込んでいるような実験的なスタイルを感じてしまう。

先月、MVが公開された『cero』の楽曲「魚の骨 鳥の羽」は実験的とも言える、これまでにない”ceroサウンド”を鳴らしている。
イントロからのパーカッションとスキャットがこの曲のイメージをリードしている。すぐに中音域が美味しいベースがピッタリと付き添いながら入ってくる。この時点で熱帯雨林を擁する民族楽曲のような非常に高い湿度を筆者は感じた。
リズムという点で分析していくと、最も面白いと思ったのはドラムのハイハットの刻み方である。イントロを抜けるとその刻み方の気持ち良さが際立っていく。というのも、ハイハットをパーカッションのように叩き、クローズとハーフを織り交ぜることでイントロのイメージを継続したまま、展開していると感じた。
上物で言うとピアノ(エレピ)がリッチな音色であり、アルコールの匂いを伝えてくれるようだった。また、ギターのミュートした音の粒も単純な民族音楽的なアプローチで済ませていない重要なラインを形成しているように思う。
全体のサウンドとしても、音が抜け過ぎないようなミックスも非常に良い雰囲気である。MVの通り、室内(あるいは小さなリハスタ)でセッションしているような、音の響き方がとても良い。こういってはなんだが、本当に変態的で怪しく、しかしカッコいい曲になっている。単に「実験的サウンド」と言うには勿体ないほどの怪しさと渋い仕事が詰まっている。
『cero』のオフィシャルサイトはこちら
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