Passafire USレゲエシーンを代表するツアーバンドへインタビュー

 

ライター/Semapho

『Passafire』 インタビュー

当サイト『someaka』を立ち上げることが決まって以来、筆者はいくつかのバンドを紹介、インタビューをすることに決めており、そして実際インタビューをするに当たり、心が震えるようなバンドがいた。その一つが『Passafire』というバンドである。インタビューの前に彼らのことを少し話しておこう。『Passafire』はSavannah出身(ジョージア州)の四人組レゲエ、ロックバンド。

ボーカルのTed Bowneへのインタビューの内容、受け答えからも分かるが親日家のナイスガイである。数年前(PepperのJapanツアーの直後ぐらいだから2009年頃)から筆者は彼らの曲をずっと聞いていた。当時、私はバンドを組んでいて仲間にこのバンドはヤバい!と騒ぎ立てたことがあるほどに当時からのファンであった。

その後も『Pepper』や『311』、『sublime』などのバンドが比較的日本でも認知されている中で彼らが意外にも広く知られていないことがとても不思議であるほどに、彼らはタイトなツアーと非常に高いクオリティのアルバムリリースを行っている。

Passafire

 

 

 

13年のキャリアで多くのファンからの支持を得てヨーロッパツアーにも出ている。それこそインタビュー当時は二度目のヨーロッパツアー(ドイツとオーストリアをメインとする)を行い、アメリカ帰国後も国内のツアーを行う予定の彼ら。

今回、そんな多忙な中『Passafire』のフロントマン、Ted Bowne(Guitar,Vocals)にメールインタビューを行うことができた。

 

ーもし彼らがいなかったら今の俺たちには何もないよ。

――私も含めて日本にはまだあなたたちの情報を掴み損ねているファンがいます。『Passafire』の歴史とメンバーのことを教えてください。

『Passafire』は俺がサバナ大学に絵やデザインを学んでいた期間である2003年にできたんだよ。ファーストアルバム「Passafire」は2006年に出した。この時からWill Kubleyがベース&ボーカルとしてバンドに参加することになってバンドは東海岸へツアーを地域的に始めたんだ。
2007年には「LAW Records」(※Pepperが設立したレーベル)からアルバム「Submersible」をリリースし、『Pepper』とツアーをいくつか行った。

2009年にはアルバム「Everyone on Everynight」を出して(LAW Recordsより)、『Rebelution』、『The Wailers』、『The Expendables』、『311』とツアーを始めたんだ。2011年にMike DeGuzman(Key)がAdam Willis(前メンバー)と入れ替わって、バンドは「Vans Warped Tour」に出た。その秋、俺たちは自身のレーベル”FlameGuy Records”からアルバム「Start from Scratch」をリリースした。それに次いで、Passafire自身がヘッドライナーを務める全国的なツアーを始めたんだ。『Tatanka』、『Pacific Dub』、『Katastro』と一緒にね。

2012年、俺たちは『311』から「311  Caribbean Cruise」に誘われてツアーに出た。『Dirty Heads』、『Ballyhoo!』、あといくつかのバンドも一緒だったな。翌年、俺たちはアルバム「Vines」を出して、その後”Easy Star Records”(※『John Brown’s Body』や『The Meditations』所属)とサインした。このアルバムのリリースに伴い俺たちは『Stick Figure』、『Ballyhoo!』、『TUGG』らと全米の至るところまでツアーしたんだ。

2015年に「Interval」というEPをリリースして、その夏に初めてのヨーロッパへツアーに出たんだ。9カ国を転々とする三カ月に渡る長いツアーで、いくつかの世界的なフェスや小さい町のフェス、クラブだとかとにかく俺たちはヨーロッパの至るところでライブをして回った。

ヨーロッパツアーから帰ってきた後、俺たちはアメリカの主要都市を回るツアーに出た。現在、バンドは再びヨーロッパにツアーに出ていて、ドイツやオーストリアでライブをしているところさ。俺たちは秋からスタジオに入って2017年に6th Full albumをリリースする予定だよ。(Easy Star Recordsから)さらに俺たちは10月に選ばれたバンドのみが出ることができるフェス「Hulaween」にラインナップされていてとても興奮しているんだ。

俺たちは今後、南アメリカ、アジア、オーストラリア/ニュージーランドもツアーしたいと思っているんだ。もしも日本のみんながPassafireの曲が好きなら俺たちが日本でツアーできるようにぜひ広めてほしい。俺たちは日本の文化が大好きさ。あ、ドラマーのNickと俺のことを言い忘れていたけど、俺たちはバンドの立ち上げメンバーなんだ。もうPassafireとして13年旅に出てる。

Passafire Submersible

――先ほど名前が出たバンドとの繋がりも後で聞きたいですね。ところで、先ほどNickとあなたはバンドの立ち上げメンバーと言いましたが、最初から現在のようなサウンドをプレイしていくと決めていましたか?

俺たちのサウンドは数年かけて発展していったけど、『John Brown’s Body』にとても強い影響を受けたよ。俺たちは彼らのルーツ・ロック・レゲエやダブに対しての鋭いアプローチが大好きなんだ。歌をソリッドかつクリアーに聞く人に届けるんだ。それから『Nirvana』、『Green Day』、『Offspring』、『Pearl Jam』、『Red Hot Chili Peppers』、『Incubus』からの音楽的な影響も否定できないね。俺たちは『The Clash』、『The Police』、『Sublime』、『311』のようにハードロックサウンドとプログレッシブなルーツやダブをミックスする「アイディアを探求していこう」と決めたんだ。

これは一番最初の大きな音楽的影響だろうね。俺たちの曲の中には膨大なサウンドが詰まっていて俺たちはそれらに影響された。つまり俺たちのアルバムには多種多様なルーツミュージックが溢れているよ。

――『John Brown’s Body』は素晴らしいバンドですよね。ところでライブ映像を何度も見ているのですが、最初の印象としては曲が非常にクールである!というものでした。そしてすぐにメンバー全員の演奏技術の高さに驚きました。あの一体感はどこから生まれているのですか?

Semapho!君が『John Brown’s Body』を知っていてくれて嬉しいよ。Elliot(John Brown’s BodyのVocal)は日本の映画と文化の大ファンで、彼の歌のメロディのいくつかは日本のホラー映画のサウンドトラックから引き出してきたものなんだよ。例えば「Be at Peace」(Amlify収録)なんかがそうらしいんだ。

君の質問に答えようか。

Nickと俺はお互いに音楽をする上で出会った最初の人間なんだ。それからすぐにジャムることになるのは容易なことなんだ。なぜなら俺たちはお互いに好きなバンドが同じで、同じものに影響を受けていたからね。WillはNickの弟であいつらは子どもの頃から一緒にプレイしているんだ。あのリズム隊はまさに兄弟であることの恩恵だよ。時々見かけるんだけど、血の繋がった兄弟ならではのテレパシーも持ってるんだ。Mikeがバンドに入った時、不思議なことに俺たちは完全に一つになったんだ。そして皆がそれを理解した。俺たちがずっと欲していた人物であることが理由さ。俺はラッキーだよ。すばらしい音楽家と出会えて、そして一緒にバンドができて。

俺たちは互いに意見やアイディアを聞き、お互いに褒めるんだ。それがすごく上手くいっているのさ。
時々ファンの人たちから言われるんだけど、俺たち全員がすごくタイトなサウンドを鳴らしているのを見ることが楽しいんだって。俺たちはほとんどリハはしないんだ。けど、もし君が年に120回を超えるライブをやっていたらその曲の演奏はマッスルメモリーになっているはずさ。俺たちは個人の枠を超えて一枚岩となっている。そしてそんな不思議なバンドのファンなんだ。『Umphrey’s McGee』、『My Morning Jacket』、『Red Hot Chili Peppers』、『Incubus』……。グループとしてタイトで統一されているのはほんのわずかだからね。俺たちはそんなソリッドな音とバンドを目指しているんだ。

――Elliotが日本の文化が大好きであるとまでは知らなかったです(笑)けれど、彼のボーカルは間違いなく日本人にも受け入れられますよ。ところで、いまもツアーの真っ最中ですが、これまでのツアーでの最高の思い出を教えてください。また笑ったことや、トラブルなどはありましたか?

最高の思い出は「Vans Warped Tour」かな。これまでの中でもやばいツアーの一つなんだけど、ツアー中に知り合ったバンドのみんなとはいまだに連絡を取り合ってるんだ。俺たちがたくさんの人に知ってもらえるきっかけになったんだ。そして、『Fishbone』のAngelo Mooreが毎日俺たちのステージでサックスを吹いてくれるんだ。あれはやばかったね。またいつか絶対やりたいな。

面白いことは俺たちの日常で常に起こるよ。バンドとクルーはジョークが好きでツアーの度に最新のジョークを少なくとも5つは考えてくるよ。俺たちが2009年に『John Brown’s Body』とツアーしてた時、
いたずら戦争が勃発したんだ。あいつらが俺たちのバンのドア、ハンドル、ホイールにワセリンを塗りたくってきたから、俺たちはお返しにあいつらのバンを「コオロギ」でパンパンに満たしてやったよ(笑)

そしたらやつら俺たちの曲の一つに最低なリリックを乗っけたやつをリミックスして送ってきた。で、俺たちはやつらが毎朝ブレンダ―でジュースを作って飲んでることを知っていたから、ブレンダ―を辛子ソースでひたひたに満たした。最高に楽しいツアーだったよ。でも気付かなきゃいけなかったことは「お互いバンに何かできないように常にキーを持ち歩くべき」だったことさ(笑) 俺は彼らのことが大好きだよ。またいつか彼らとツアーに出て「いたずら戦争」をしたいよ。

トラブルは常に付き物だね。バンの故障からタイヤの破裂、悪天候によるショーの中止、オープニングアクトのバンドが現れなかったり。俺たちはそのすべてを経験したよ。貴重な機材を使っていて代用が効かないものがあるんだけど、それは入手が困難だから壊れた時はスタッフが修理したりするんだ。そんな機材を強奪されたことがあるんだ。ある日、盗人が10,000$もする俺たちの機材をトレイラーから盗って行ってしまう事件が起きた。

けど、ファンがすぐに資金を募ってくれたおかげで新しい機材を買えたんだ。まさに迅速な対応さ。俺たちは過去に色んなトラブルを経験してきたけど、もし彼らがいなかったら今の俺たちには何もないよ。

――すごく面白い話ばかりです(笑)『JBB』や『Fishbone』とあなたたちは強い絆で結ばれているんですね。次の質問は作曲についてのことなのですが、あなたたちは昨年EP「Interval」をリリースしましたね。曲を作る際にイメージしているものはなんですか?

そうだね。俺たちとJBB、Fishboneは友達でファンを共有しているよ。曲作りに関してのほとんどを俺たちは一緒にやるのさ。なにかアイディアを思いついたら共有して、って感じだね。リリックは俺が大部分を書いているけどWillもやばい曲を書いているんだ。俺たちいつも初めに歌詞が出来た後、より良いものにしようとディスカッションするんだ。グループとしてね。

俺は俺の人生において起きる伝えるべき(伝えたい)話や感情を伴う出来事全てからインスピレーションを得ている。ほとんどの歌詞は人生経験や旅行から得ているね。好きな女の子や友達のことがそうさ。俺たちは時々、インスピレーションを与えてくれたり、素晴らしい話をしてくれる友達のことも書くよ。

「Wheel of Steel」は俺の彼女が病気で入院して、俺がお見舞いに行った時の話なんだ。彼女はそこにいることが嫌ってた。俺は「彼女を連れだすドライバー(Getaway Driver)」になりたかった。コーラスでは俺たちが同じものを考えたり、同じ物を好きだったり(嫌いだったり)ということを歌っている。

かと思えば、もっと抽象的で良い言葉の響きがするものを書いたりもするよ。「Shapes and Colors」のリリックの書き方は抽象画家と同じなんだ。”our heads go floating past”って歌詞は体がバラバラになって空中を漂っている、まるでピカソの描き方のようなものをイメージしたんだ。

あとは……俺たちは悪い感情や悲しみからもインスピレーションを与えられることもあり得る。感情は作曲に置いて重要な役割を果たすからね。感情が歌詞のテーマがさらに関連していくと曲に没入できるんだ
(これは俺の考えだけれど)。

俺は聞いてくれる人の人生に共にある曲を書こうしている。ある意味では彼らと俺たちの音楽に強い繋がりがあるように感じてもらいたい。時々、ファンから言われるのは俺たちの歌詞が彼らの人生に共感できるってことさ。なぜなら彼らは彼らが現実に感じられるように感じてくれるからさ。だから俺たちは彼らと繋がりを築いて、俺たちもみんなと同じ物を感じていることを知ってもらうんだ。人はそれぞれ違うことを考えて違う経験のもとにあるからね。

Passafire バンド

 

 

 

 

 

 

 

 

――あなたたちはまさにツアー真っ只中ですよね。ドイツとオーストリアを中心にツアーを行うことは
現地のファンにとっては素晴らしい機会だと思うのですが、現地のファンからの反応などはいかがですか?

今回のツアーは俺たちの二回目のヨーロッパツアーだったから何か所かでまた見に来てくれる人がいるのに気付いたよけど、まだ行ったこともない場所に色んな人たちと行ったよ。それはすべて良い経験だし、俺たちはショーの度に成長できた。それがバンドとしてのやりがいだね。俺は音楽家として、またこんな経験が人間として生まれて幸せだよ。それが『Passafire』のすべてだよ。

俺たちはエネルギーを与え、与えられそういった循環がお互いにとって最高なんだ。もし、そのサイクルが壊れたときバンドは長く続かない。俺たちの曲を聞いてポジティブになってくれるニューカマー(新たなファン)が増えてきている。そして彼らに最高のライブを届けるんだよ。これこそが最高なんだ。

――次の質問はニューアルバムについてです。あなたは2017年にリリース予定と言いましたが、もし可能ならばアイディアの断片やスケッチなどありましたら日本のファンへ教えて頂けませんか?

俺たちはたくさんの曲を書いている。来年の初めにはレコーディングする20曲を選ぶためのセッションが2つあるんだよ。11月に俺たちお気に入りの「Sonic Ranch」スタジオでその6thアルバムのための曲を録るんだ。まだタイトルもアートワークも決まっていないんだけど、新曲と新しい音楽の方向性にワクワクしてるって感じだよ。そこにはファンも知ってるような初期のPassafireらしい曲もあるよ。その中の「Drifter」って曲はYoutubeを探せばライブ映像が出てくるよ。

――非常に楽しみですね。必ずチェックします。次が最後の質問です。日本のカルチャーで好きなものはありますか?

俺たちはそれぞれ多くの日本のカルチャーに影響を受けてきたよ。Nickは日本式の入れ墨(和彫り)と日本画が大ファンさ。Mikeは日本の総合格闘技と『Babymetal』のファンで、俺とWillは寿司好きだね(笑) 四人のうち三人は日本車に乗ってるしね(Nissan、Honda、Toyota)ニンテンドーゲームで遊んで育ったし、Mikeはゲームミュージックをたくさんキーボードで弾けるよ。それこそ、俺はサバナの大学の近くの「Sakura」って日本食レストランで働いてたことがあるんだ。キリンもサッポロ一番、日本酒、あと……Shochuだっけ?あれも好きさ。俺の家族は日本の交換留学生を受け入れてたんだけど、その日本の学生はとても賢くて勉強に対する姿勢は俺もインスピレーションを受けたよ。あと、尺八が大好きだから俺が作った曲でサンプリングしてるんだ。まあ、そんな感じで君の国のカルチャーにめちゃくちゃ影響受けてるわけさ。

――私が思っているよりも多くのカルチャーに影響を受けているんですね。我々はお互いに影響を与えあっているんですね。あと、おすすめの焼酎は「黒霧島」です(笑) インタビューはこれで終わりです。本当にありがとうございました。

俺は君がインタビューに丁寧に時間をかけてくれたことの意味を理解している。君が日本のみんなに伝えられるだけの十分な情報が聞けたならいいな。俺たちのことをみんなに知らせてくれ。もし、その時に何か必要な情報があれば喜んで答えるよ。ありがとう。

Ted Bowne(Passafire)

 

Passafire

Ted Bowne(Guitar,Lead Vox)
Nick Kubley(Drums)
Will Kubley(Bass,Vox)
Mike DeGuzman(Keys)

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インタビュー、訳:Semapho

インタビューを終えて

私とTedはインタビュー中にも内容に関係ないジョークや情報の交換などを行ったが、そのすべてにおいてTed Bowneは親切で丁寧な人物だった。彼の送ってくれた英文の丁寧さとユーモアあふれる雰囲気を日本語で伝える中で私は『JBB』との「いたずら戦争」の話はゲラゲラ笑いながら翻訳していた。そして「Wheel of Steel」のリリックの話では深く感動することになった。

なぜならあの質問を行う頃には僕はTedに対して強い繋がりと信頼を感じていたからだ。(もちろん一方的な可能性もあるのだが、そう信じることが彼へのリスペクトであると信じている)僕とTedはある約束を交わした。それを果たす頃には『Passafire』は日本でも広く知られているだろう。

この最後の締めの言葉を書いている時にWillがボーカルをしている曲「Bobber」が流れた。最大の敬意と感謝、そして愛をヨーロッパにいる彼らに送る。

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